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特別送達を本人以外が受け取れる!?

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特別送達を本人以外が受け取れる!?

裁判所に債権回収や財産開示、または債権執行を求めて申し立てを行ったり、訴訟を起こすことになった場合、原告は訴状などの正本と副本を裁判所に提出します。裁判所は、この副本と必要書類を被告に送る手続きとして「特別送達」を行います。

これは、郵便局員が被告に直接書類入りの封筒を手渡し、受け取りのサイン(押印または署名)をもらうことで完了します。つまり、被告のサインがなければ「特別送達」は成立しない仕組みです。

民事訴訟において重要な意味を持つ送達は、裁判の最初の関門とも言える手続きです。送達される書類には、訴状のほか、判決書や不動産競売開始の決定、支払督促や債権差押命令など、被告の人生に大きな影響を及ぼす可能性のあるものが含まれます。さらに、異議申し立てや控訴の期間も、この送達が完了した日を起点に計算が始まります。

なぜ特別送達に被告のサインが不可欠なのでしょうか。それは、被告側にも反論・反証・主張・立証・異議申し立てなどの機会と時間を公平に与え、裁判の平等性・信頼性を保つためです。送達が正しくなされることは訴訟開始の要件になっているんです。

裁判所が送達が適切に行われていない、または違法性があると判断した場合、原告は申し立ての取り下げを求められたり、被告から判決に対して上訴される可能性もあります。そのため、送達は「確実に有効」であると認められるよう慎重に行わなければなりません。

しかし実際には、送達の有効性を判断するのが難しいケースも存在します。

たとえば、次のような状況で「送達の有効性」は認められるのでしょうか?

  • 被告本人が不在で、家族が代わりに受け取った場合
  • 被告が別の住所に転居していた場合
  • 債権の消滅時効が間近に迫っている場合

それでこの記事では、これら3つのケースにおける送達の有効性について詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

被告本人が不在で、家族が代わりに受け取った場合

特別送達は、基本的には宛名本人への手渡しが原則ですが、送達場所で相手本人に会えない場合には「補充送達」として、同居の家族や従業員・使用人に渡すことも認められています(民事訴訟法第106条)。ただし、勤務先が送達先の場合は、プライバシーの観点から「補充送達」は認められません。また、同居人や従業員・使用人に交付する際も、相手が「書類の受領について相当のわきまえのある者」と判断できる場合に限られます。

この「相当のわきまえのある者」とは、状況を理解できる知識・判断力を備えた人物を指します。同居家族であっても、幼い子どもや認知症の疑いがある高齢者の場合は該当しません。

例えば、同居する60代の母親が成人した息子宛ての送達を受け取った場合、「補充送達」が成立し、送達は完了したと認められます。

被告が別の住所に転居していた場合

何度か特別送達を試みても相手が受け取らない場合、相手が別の住所に転居している可能性があります。この場合、裁判所からの書類を相手が受け取っていないため、「特別送達」は完了せず、送達の有効性も認められません。

相手が引っ越しているとわかったら、送達を完了させるために新しい住所を特定する必要があります。通常、転居の際には「転出届」と「転入届」の手続きが行われるため、旧住所地の役所で住民票を取得すれば、新住所が確認できます。

新しい住所や勤務先で送達を試みても、居留守や不在票の無視によって送達が完了しない場合、必要な調査と証明を経て「付郵便送達」制度が利用できます。ただし、この付郵便送達を裁判所が認めるには厳格な条件が求められます。

また、転出や転入の届け出が行われておらず、引っ越し先が不明な場合には、「公示送達」制度を活用することになります。

債権の消滅時効が間近に迫っている場合

債権回収とは、支払い期限が過ぎても未払いの金銭債権(債務)に対し、債権者が法的手段などを用いて回収を求める行為を指します。債権回収には時効があり、権利行使をしないまま一定の期間が過ぎると、その権利が失効してしまいます。これを「消滅時効」と言います。

2020年4月1日より施行された「改正民法」では、債権の消滅時効期間について、「債権者が権利を行使できると知った時から5年」もしくは「権利を行使できる時から10年」のいずれか早い方で消滅時効が成立すると定められました。

消滅時効が成立すると、債権回収が不可能となるため、迅速な対応が必要です。また、消滅時効が迫っている場合でも、特別送達・付郵便送達・公示送達などで裁判所から訴訟書類(呼出状や支払督促など)を送達すれば、そこからさらに5年間、時効の期間を延長できます。

債権回収の時効は短期間であることが多いため、早めに弁護士に相談することが推奨されます。

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